前回車検でお預かりした'06 XL883がオシャレなカスタムカラーだったので
お客様から許可をもらい画像を掲載させていただきました。
オレンジの使い分けもブラックとの相性もバッチリです。
'06のキャブ最終モデルで、エンジンも調子よく、とても大事に扱われている車両のようです。
日本でも多く人気のあるスポーツスター
これまで60年以上続いている歴史について記事にしてみたいと思います。
スポーツスターの歴史
1957年に登場したスポーツスターですが、その原型と言われているのが
このモデルKという車両です。
モデルKは1952年に登場したモデルで、当初は750ccの排気量でしたが
1954年に登場したKHからは883ccに拡大されました。
当時、レースの世界で英国車に遅れをとっていたハーレーダビッドソンは
英国車に対抗すべく、クランクケースとミッションを一体化してコンパクト化し、
新設計のフラットヘッドエンジンを採用しました。
また、ハーレー初のスイングアームと油圧式サスペンションを装備したのもこの時です。
しかし、それでも英国車に太刀打ちできなかった為、
1957年にモデルチェンジし、エンジンをOHV(オーバーヘッドバルブ)化して
誕生したのが元祖スポーツスターのXLスポーツスターです。
このXL Sportsterを皮切りにスポーツスターの進化が始まるのですが
スポーツスターは大きく分けて三つの世代に分ける事ができます。
スポーツスター 第一世代(1957年〜1985年)ショベルヘッド(アイアン)
1957にデビューした元祖スポーツスターは、
モデルKの腰下(ミッション一体型クランクケース・4カム方式)を流用しつつ、
エンジンをOHV(オーバーヘッドバルブ)化して排気量は883ccを採用しています。
シリンダーとヘッドを鋳鉄製にしてることから「アイアン」の愛称でも呼ばれます。
また、ハーレー初のスイングアームを備えたフレーム、俗に言う「Kフレーム」は
モデルKに初採用されたことから、この愛称で呼ばれるようになりました。
ちなみにKフレームは1957年〜1976年まで採用されていました。
元祖が登場した翌年の1958年、レース専用車として「XLC」と「XLCH」がデビュー
軽量化の為、タンクが小さくなり、フェンダーも短くなりました。
このスタイルこそが現在まで続いているスポーツスターの原型と言えます。
スポーツスター 第二世代(1986年〜2003年)エボリューション(旧型)
既にビッグツインでは採用されていたエボリューションエンジンを
2年遅れでスポーツスターに採用。
エンジンはコンピュータで設計されるようになり、
剛性と信頼性が大幅に向上しました。
当初は883cc(通称パパサン)と1100ccの二種類のラインアップでしたが
1988年から1100ccが1200ccに拡大、またフロントフォーク径が
35mmから39mmに変わり剛性がアップされました。
更に、1991年にはミッションが4速から5速に変わり、
電気系も改良され、信頼性が大幅にアップされています。
また、一部のモデルではチェーンドライブからベルトドライブに変わり
メンテナンス性も向上しています。
スポーツスター 第三世代(2004年〜2020年)エボリューション(現行型)
ツーリングモデルなどで培われてきたラバーマウントフレームの技術が、
2004年からスポーツスター全モデルにも導入されました。
エンジンとフレームの間にゴム製の部品を介すことで振動が抑えられ、
快適な乗り心地を実現させました。
しかしその構造上、エンジンが揺れ動くので
フレームとエンジンのクリアランスを大きく取る必要があることや
フレーム自体の剛性が求められたため、従来のエボフレームよりも
車体が一回り大きくなり、その分重量も増しています。
2011年には「Forty-Eight(フォーティーエイト)」が登場し、
フロントホイールに初めて16インチが採用されました。
ボバースタイルでカスタムしやすい事で多くのファンを生み出すことになり、
昨今でも人気は衰えず、市場でも高値で取引されています。
そして2022年のファイナルエディションを最後に、
空冷スポーツスターの長い歴史に幕を降ろすこととなりました。
これからは水冷エンジンの新型スポーツスターSやナイトスターが新たなスポーツスターファンを生み出しそうですね。